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2016年 05月 18日

Silver in the Dark

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緯度は12度。東京が35度、沖縄がだいたい26度。そうとう赤道に近いですね。
なので超暑いです。
のどが渇けば当然飲みます、冒頭の麦酒を。
地ビール、ハイルーン。薄くて水代わり。

この日は仕事が早く終わり、ビール呑む以外にやることないので、初めての出撃となりました。







この国は火山島で、島全体がかなりの急傾斜、すべての道がワインディングロードでそこを改造日本車が物凄いクラクションとともに爆走していきます。一応レンタカーもあるんですが、左通行、右ハンドルといえど怖くて運転する気になれないほど。大阪堺ナンバーが可愛く見えますわ。それほどです。
よって、移動は当然徒歩。ホテルから歩いてポイントを探していきます。ホテルの目の前はこんな感じ。
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少し振ってみましたが何の反応も無く。
海沿いのほとんどはリゾートエリアで釣りさせてもらえる雰囲気はまるでなし。
地元民がいる桟橋はよさそうですが、サカナっ気皆無。
足を棒にしてようやくサーフっぽいところに。

おっと、ここは匂います。何がというと、糞尿の匂い。そして水が濁ってます。ダーティです。そう俗に言う”ドブ”。
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この島、一番にぎわっている市街地でもこの透明度。
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この貧栄養海域に高濃度の汚水! 相当な栄養的インパクト!!! 
長年の感からして釣れないわけがありません。ハッとみると今までにない、アジサシの突っ込みもちらほら。
早速投げ始めますが、近所のおじさんでしょうか、パンイチのあられもない格好で海沿いに現れ、我々に向かって 「ハローーーーーー!!!」 と叫びはじめたではありませんか。
かなりヤバイ雰囲気があたりを支配していきます。こっちに向かって何かを叫んでいますがほとんど聞き取れません。そしておもむろに芳しい香りの汚水にダイブ! なぜか気持ち良さそうに泳いでいるではありませんか! そしてまた 「ハローーーーーーーッッッ!!!」

これはもうヤバイです。ここが仮に釣れたとしても何か大事なモノと引き換えにする覚悟が必要のようです。

同僚と顔を見合わせ引き返そうとしたらオジサンは岸に上がってどこかに消えていきました。ポイントを変えようにも他にめぼしいところもなく、時間的にもまだ相当余裕があったのでそのままここで釣りすることに。

すると。


濁った水の中に小さなベイトの群れが目視できました。黒くてサイズは2~3cmほど。ルアーでは相当厳しいですがフライには適した状況のようです。


その、ベイトの群れが見えたあたりで...ギラッとなにか大きな魚が反転するのがみえました。
濁っているので魚種までは不明。でも平べったい。

意気込んで大型のフライばかりを詰めてきてしまったボックスを探り、フライをベイトのサイズに一番近そうな、オリジナルのLEAFに変え、一投目。バックスペースがとりにくいのでキャストが失敗。ベイトの群れからはずれてしまい...  回収して今度は慎重に2投目。


ベイトの群れが消えたあたりを通過。


手前10mほどまで引いたとき、フライに異質な手ごたえ。すかさずストリップでバシバシ合わせを入れまくります。
完全にフッキングしたと確信したそのとき。


空中に飛び上がったその姿は・・・シルバー!  ガシャガシャという音(そう聞こえた気がしました)とともにヘッドシェイク!

我が目を疑い、一瞬固まり・・・、次の瞬間叫んでました。「ターポン!」



足元の余分なラインを速攻回収し、ドラグを締め、ファイト体制に入ります。後はいなしながら「バレないでくれ」とひたすら祈るのみ。
しかし予想に反してそれほど暴れず、ジャンプも3回ほど、ドラグもほとんど引き出されず。
程なくして手前まで寄せることができたので、汚水を引っかぶるのを覚悟しながら足元の岩場をギリギリまで降りて、リーダー掴んで、ハンドランディング! アゴつかんだまま岸に放り投げ!

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釣れた!

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ちっちゃいけど、白銀!

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このアゴ! ごっつい! パシフィックとはぜんぜん違う!


大きさはせいぜい60cmちょっと、重さも2~2.5kg程度。しかし、この魚は小学生のときに雑誌のEIZOさんの記事で見て衝撃を受け、フライとルアーを始めるきっかけとなった...
ガイド無し、ボートどころか車も無し、情報も無く、徒歩のみで、オカッパリ1日目。

感無量です。久しぶりに震えました。おのパシフィックで92魚種目
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TFO TiCr 9ft,9weight + Hatch Monsoon 7Plus
Rio Tropical Outbound WF9F/I + Seager 20lb (ショック無し)
Fly: the LEAF #5

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これ、フライ。ベイトに狂ったオニヒラを退治するために、環チヌ5号に巻いた小型フライ。上顎の唯一フックが通る筋を貫通してました。


その後、ターポンのローリングを相当な回数見て、ありとあらゆるフライを(相棒はルアーを)投げ倒し、ノーバイト。次第に頻度が少なくなるローリングを横目に撤収しました。
1日で1バイト、1フィッシュ。奇跡のようでした。

そして後日。 
あのハローオジサンはマジでヤバイ人だと現地人から注意され、同じポイントに入ることは2度とありませんでした...

by tpbum | 2016-05-18 10:17 | Expedition


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